タイ料理には欠かせない、タイの生姜『カー(ข่า / Galangal)』。日本でも生姜は料理に欠かせない食材として幅広く活用されています。その代表的な料理の一つが「生姜焼き」です。薄切りの豚肉を甘辛い生姜風味のタレで炒めたこの料理は、生姜の香りと旨味が豚肉の脂と絶妙に絡み合い、ご飯が進む一品です。また、魚料理では「煮魚」に生姜を加えることで魚の臭みを消し、さっぱりとした風味を引き立てます。
さらに、生姜を使った「生姜スープ」は、体を芯から温める冬にぴったりの料理です。鶏肉や野菜と合わせて煮込むことで、生姜のスパイシーさと優しい甘味がスープに染み渡ります。「ガリ」と呼ばれる生姜の甘酢漬けは寿司の箸休めとして定番で、生姜特有の爽やかさが食欲を増進させます。
これらの料理は、タイのカーが香りを引き立てる役割を果たすのと同様、日本の生姜が料理に深みとアクセントを与えています。生姜の風味を存分に活かした日本の伝統的な料理は、健康的で心温まる家庭の味です。
さて、以下からはタイのカー(ข่า / Galangal)について考察していこうと思います。
カー(ข่า / Galangal)の概要とタイでの食の歴史
カー(ข่า / Galangal)は、ショウガ科の植物で、タイ料理において欠かせない食材です。見た目は日本の生姜に似ていますが、風味や用途が異なります。カーの味は柑橘系の爽やかさが特徴で、スパイシーさや辛味は控えめです。そのため、タイ料理では主に香り付けに使用されます。
タイでは古くからカーが薬草や調味料として使われており、消化を助けたり、抗炎症作用があると信じられています。また、食材としてだけでなく、ハーブティーや薬膳スープにも利用され、健康維持に役立てられてきました。
カーを使った主なタイ料理
- トムヤムクン(ต้มยำกุ้ง)
タイを代表するスープ料理。カーの爽やかな香りがスープ全体に広がり、他のハーブやスパイスと調和します。 - トムカーガイ(ต้มข่าไก่)
カーを主役にしたココナッツミルクスープで、まろやかな風味とともにカーの香りを楽しめる一品です。 - ゲーンパー(แกงป่า / ジャングルカレー)
スパイシーなタイカレーで、カーが香り付けとともに辛味を引き立てます。 - カー入りソムタム(ยำข่า)
カーを細かく刻んでスパイシーなサラダに加え、アクセントとして使用します。
カーと日本の生姜との違い
- 風味の違い
日本の生姜(ขิง / Khing)は辛味とスパイシーさが特徴的ですが、カーは柑橘系の香りが強く、辛味は控えめです。 - 用途の違い
日本の生姜は煮魚や生姜焼きなど、料理そのものに風味を加えます。一方で、カーは香り付けが主な目的で、スープや煮込み料理のベースとして使用されることが多いです。 - 食感の違い
日本の生姜は柔らかくそのまま食べられますが、カーは繊維質が多く硬いため、食べるよりも煮込んで香りを抽出する使い方が一般的です。
タイの地域別のカーを使った料理や食べ方
- 中部地方
トムヤムクンやトムカーガイなど、伝統的なスープ料理で使用されます。 - 北部地方
カーをハーブティーや薬膳スープに取り入れ、健康維持に役立てています。 - 東北地方(イサーン)
スパイシーなサラダやディップにカーを刻んで加えることで、辛味と香りを引き立てています。 - 南部地方
ココナッツミルクを使った濃厚なスープやカレーにカーが使用され、香りが辛味を和らげる役割を果たします。
他の東南アジアのカーや類似の生姜を使った主な料理
- インドネシア:サンタンカレー(Santan Curry)
ココナッツミルクとカーを使ったスパイシーなカレー。 - マレーシア:ラクサ(Laksa)
カーが香り付けに使われるスパイシーなヌードルスープ。 - ベトナム:カインチュア(Canh Chua)
カーや他のハーブを使った酸味のあるスープ料理。
日本人がタイで食べるお勧めのカーを使った料理や調理法
- トムヤムクン
日本でも馴染み深い料理ですが、本場のカーを使ったトムヤムクンは香りが格別です。 - トムカーガイ
日本人にとって親しみやすいココナッツミルクスープで、カーの香りとまろやかな味が絶妙です。 - ゲーンパー
スパイシーなジャングルカレーで、カーが持つ爽やかな香りが全体の味を引き締めます。 - カー入りティー
煮出して作るカーのハーブティーは、リラックス効果があり、食後に最適です。
カー(ข่า / Galangal)は、タイ料理の香りの鍵を握る重要なハーブであり、スープやカレーに欠かせない存在です。その独特な香りと味わいは、タイ料理の奥深さを象徴しています。日本ではなかなか手に入りにくい食材ですが、タイ旅行の際には、カーを使った料理をぜひ試してみてください。その香りと風味が、タイ料理の新たな魅力を教えてくれることでしょう。