タイのウリ科の食物・タムルン(ตำลึง/Ivy Gourd)はタイで広く親しまれています。
日本でもウリ科の植物は夏を代表する食材として多く利用されています。それぞれの植物には特有の風味や食感があり、地域の食文化に深く根付いた料理として親しまれています。以下は日本でお馴染みのウリ科の食物です。
- キュウリ
概要: 日本で最も身近なウリ科の野菜で、シャキシャキとした食感とさっぱりした味が特徴です。
主な料理:
- ぬか漬け: キュウリをぬか床に漬け込み、独特の風味と歯応えを楽しむ発酵食品。
- 酢の物: 薄切りにしたキュウリを酢や砂糖で味付けし、さっぱりとした副菜として。
- 冷やしキュウリ: 夏の屋台で見られる塩をまぶした冷たいキュウリ。
- カボチャ
概要: 甘みがあり、煮物やスープの具材として広く利用されています(実はウリ科です)。
主な料理:
- カボチャの煮物: 砂糖や醤油で甘辛く煮込んだ家庭料理の定番。
- カボチャスープ: ポタージュとしてクリーミーに仕上げる洋風の料理。
- 天ぷら: 薄切りにしたカボチャを衣で揚げた一品。
- ゴーヤ(ニガウリ)
概要: 独特の苦味が特徴で、特に沖縄料理でよく使われます。
主な料理:
- ゴーヤチャンプルー: 豆腐や卵、豚肉と一緒に炒めた沖縄の代表的な料理。
- ゴーヤの漬物: 塩や酢で漬け込むことで、苦味を和らげた保存食。
- ゴーヤジュース: 健康志向の人々に人気の飲み物。
- トウガン(冬瓜)
概要: さっぱりとした味わいが特徴で、煮込み料理に最適です。
主な料理:
- 冬瓜の煮物: 鶏肉や干し椎茸と一緒に出汁で煮込む家庭料理。
- 冬瓜スープ: 冷たい出汁でさっぱりと仕上げた夏向きの料理。
- 冬瓜の砂糖漬け: 和菓子として楽しむ甘味。
- ヘチマ
概要: 主に沖縄や九州地方で食材として利用されるウリ科の植物。
主な料理:
- ナーベラーンブシー: ヘチマを味噌で煮込んだ沖縄の郷土料理。
- 炒め物: 豚肉や海老と一緒に炒めて味付けしたシンプルな一品。
- スープ: さっぱりとしたスープでヘチマの柔らかさを楽しむ料理。
タイのタムルンと日本のウリ科の共通点と違い
タムルンと日本のウリ科野菜には、家庭料理や地域特有の調理法が存在し、健康的な野菜として親しまれている点が共通しています。違いとしては、タムルンは葉や若芽が食用とされるのに対し、日本のウリ科野菜は果実部分が主に食べられます。また、日本では発酵や漬物、煮物が多いのに対し、タムルンは炒め物やスープ、サラダとして使われることが多いです。
日本のウリ科野菜は、それぞれ独特の風味や食感を活かした料理に使用され、季節感を楽しむ食材として親しまれています。タムルンとの調理法の違いや風味の特徴を比較することで、新しい料理のアイデアを見つけることができるでしょう。また、ウリ科の植物はどれも栄養価が高く、日本とタイの食文化を結ぶ興味深い共通点を持っています。
さて今回のブログでは、「タムルン(ตำลึง/Ivy Gourd)」の魅力について考察していこうと思います。
タムルン(ตำลึง/Ivy Gourd)の概要とタイでの食の歴史
タムルン(ตำลึง)は、つる性植物の一種で、葉や若い芽を食材として利用する野菜です。日本では「ヤサイカラスウリ」として(一部で)知られています。栄養価が非常に高く、ビタミンA、C、鉄分を豊富に含み、特にタイでは健康志向の料理に欠かせない存在です。タイの伝統料理に古くから取り入れられ、特に農村部では家庭菜園で簡単に育てられるため、日常的に使われています。葉の柔らかさとほのかな苦味が特徴で、スープや炒め物に利用されることが多いです。
タムルンを使った主なタイ料理
- ゲーンチュードタムルン(แกงจืดตำลึง / タムルン入りの澄ましスープ)
豚肉や豆腐と一緒に煮込んだスープで、あっさりとした味わいが特徴です。家庭料理の定番です。 - パットタムルン(ผัดตำลึง / タムルンの炒め物)
オイスターソースやガーリックで炒めたシンプルな料理で、葉のシャキシャキ感が楽しめます。 - タムルンの卵炒め
タムルンと卵を一緒に炒めた料理で、朝食や軽食に最適です。 - タムルンのカレー(แกงตำลึง)
ココナッツミルクベースのカレーにタムルンを加え、濃厚な味わいに仕上げます。
タムルンの主なタイの生産地域
タムルンはタイ全土で栽培されており、特に温暖で湿度の高い地域でよく育ちます。
- 中部地域: チャオプラヤ川流域での家庭菜園が盛ん。
- 北部地域: 山間部の家庭で野生種が採取されることが多い。
- 東北部(イサーン): 自然に自生しているタムルンを利用した料理が多い。
タイの地域別のタムルン料理や食べ方
- 中部: ゲーンチュードのようなあっさりとしたスープに利用されることが多い。
- 北部: タムルンを山菜としてスパイシーな炒め物に使うのが一般的。
- 南部: ココナッツミルクや辛味を効かせたカレーの材料として使用されます。
他の東南アジアのタムルンや類似の野菜を使った主な料理
- ベトナム: 「ラウムオング(rau muống)」という空芯菜と似た扱いで炒め物やスープに利用されます。
- フィリピン: タムルンに似たつる性植物を「ガビンガ」として、煮込み料理やサラダに使います。
- カンボジア: 酸味を加えたスープ「サムロー・マチュー」にタムルンが加えられることがあります。
日本人がタイで食べるお勧めのタムルン料理や調理法
日本人がタイでタムルンを試すなら、「ゲーンチュードタムルン」(澄ましスープ)が最適です。あっさりとした味付けが日本人の好みに合い、タムルンのほのかな苦味を楽しむことができます。また、卵炒めやオイスターソース炒めも、馴染みのある食材と味付けで気軽に挑戦できる料理です。レストランだけでなく、屋台や家庭的な食堂でも見つけやすいメニューです。
タムルン(ตำลึง / Ivy Gourd)は、栄養価が高く、タイ料理に欠かせない食材です。その柔らかな葉とほのかな苦味が、スープや炒め物、カレーといった多彩な料理に活かされています。タイ旅行の際には、ぜひタムルン料理を味わい、その独特な風味を楽しんでみてください。また、日本でも類似した野菜を使った料理をアレンジして楽しむことができます。