5月といえば、日本では競馬界の祭典ともいえる「日本ダービー(東京優駿)」の季節です(2025年は6月1日の開催です)。
競馬ファンはもちろん、普段あまり賭け事に関心のない人でもニュースで目にするほど、日本の競馬は広く受け入れられた合法ギャンブルです。
一方、タイをはじめとするASEAN諸国では、賭博や競馬に対する社会的・宗教的背景が異なり、規制や文化も様々です。
今回はASEAN諸国の競馬や合法ギャンブル事情を国別に紹介し、日本との違いを考察していこうと思います。
日本の競馬と「日本ダービー」について
- 日本競馬(JRA)は合法的な公営ギャンブルで、全国に競馬場が整備されています。
- 毎年5月末に行われる「日本ダービー(東京優駿)」は、3歳馬による日本一のレース。
- 2024年は5月26日(日)に東京競馬場で開催予定。
- 賞金は総額約5億円以上、国民的行事の一つとも言えるビッグイベント。
タイの競馬と賭博事情
- タイはASEANで数少ない“競馬場が存在する国”のひとつ。
代表的なのが、バンコクの「ロイヤル・バンコク・ターフクラブ」でしたが、2018年に閉鎖。
現在では、ナコーンラーチャシーマーなど地方に一部競馬開催あり(ただし規模は小さい)。 - 賭博は基本的に違法(タイ賭博法)であり、宝くじ(国家宝くじ)と競馬のみが例外的に認められています。
- 闇カジノや地下賭博が摘発されることもしばしば。
- タイの競馬文化は縮小傾向ですが、一部で合法スポーツ賭博の解禁論も議論されています。
- カジノ合法化の承認のニュースもありますが、審議は難航するのでは?と予想されているようです。
シンガポール:競馬あり・合法カジノあり
- シンガポール・ターフクラブ(Kranji Racecourse)で競馬が開催中
- イギリス植民地時代の名残で競馬文化が定着
- スポーツとしての競馬+公認ブックメーカーによる合法賭博が機能
- カジノ(マリーナベイサンズ、リゾートワールドセントーサ)も合法
- 「シンガポールプールズ」という政府公認のくじ&スポーツ賭博サイトが存在
→ ASEANで最も整備された合法ギャンブル環境の一つ
マレーシア:競馬あり・イスラム教徒は非対象
- セランゴール・ターフクラブなど、イギリス植民地時代に設立された競馬場が今も稼働中
- 競馬賭博は合法だが、マレー系(ムスリム)は宗教上の理由で賭博禁止
- 中国系・インド系マレーシア人が主な競馬ファン層
- 政府は宗教と文化のバランスを取る形で、限定的なギャンブルを容認
フィリピン:競馬+カジノが発達
- マニラ近郊のサンラザロ競馬場などで競馬が盛ん
- 「フィリピン競馬委員会(Philracom)」が公的機関として統制
- オンライン賭け(公認サイト)やTV視聴も可能
- 加えて、PAGCOR(政府運営)によるカジノ施設も人気
→ 経済成長とともにレジャーギャンブル市場が拡大中
ベトナム:競馬なし、賭博は基本禁止
- ベトナムでは競馬場は存在せず、過去に建設計画もあったが頓挫
- 国家主導でサッカーくじなどスポーツ賭博の一部合法化は進行中
- 地下カジノや違法賭博が摘発されるニュースも多い
- 一方、外国人観光客向けのカジノ(特区)ではプレイ可能
インドネシア:競馬なし、賭博は原則違法
- 世界最大のイスラム教徒人口を持つ国で、宗教上の理由で賭博全般を厳格に禁止
- 競馬文化も存在しない
- 一部のバリ島など観光地では外国人対象のカジノライセンス論が存在するが、実現には至っていない
- 両国ともに賭博全般を厳しく制限しており、競馬文化も存在しない
- 特にブルネイは厳格なイスラム法(シャリア)を国内法に組み込み
- ミャンマーは社会混乱により賭博規制よりも治安維持優先の状態
- ミャンマーはタイのゴールデントライアングル(チェンセーン)の川を渡ったミャンマー領にカジノは存在します。その他、タイとの国境の街には存在はしているようです。
まとめ|ASEANの競馬事情は「宗教・植民地・法制度」で大きく分かれる
国名 |
競馬の有無 |
合法ギャンブルの例 |
タイ |
一部あり(縮小) |
国家宝くじ・競馬 |
現役 |
競馬・カジノ・スポーツ賭博 |
|
マレーシア |
現役 |
競馬(非ムスリム向け) |
フィリピン |
活発 |
競馬・カジノ・スポーツベッティング |
なし |
一部スポーツ賭博(試験段階) |
|
なし |
原則全面禁止(イスラム法) |
|
なし |
外資系カジノ |
|
なし |
国境カジノ(観光特化) |
|
なし |
全面禁止(イスラム法) |
|
なし |
国内法上禁止に近い状態 |
🎯 結論
日本では競馬が「社会に根ざした健全な娯楽」として発展していますが、ASEAN諸国ではそのあり方は多様。
宗教(特にイスラム教)、植民地時代の文化、法制度の違いが、各国のギャンブル事情を色濃く分けています。
タイ・フィリピン・マレーシア・シンガポールは比較的「合法賭博」が整っており、日本との共通点も見出せるエリアです。