日本では青汁や加工食品に練りこまれることが多い、スーパー野菜『ケール』。
ケールの加工食品として最もポピュラーなのが青汁ではないでしょうか？。ケールの葉を粉末にして水や牛乳と混ぜて飲む形が一般的で、ビタミンやミネラル、食物繊維を効率よく摂取できるため、健康志向の高い消費者に人気があるようです。
また、ケールを練り込んだ麺類、例えばパスタやうどん、そばなどもあります。
シラチャでもケールを見かけることはあり、タイ料理にも使われています。今回のブログではタイにおける『ケール (คะน้าใบหยัก, Kale)』について考察していこうと思います。
ケールの概要
ケールはアブラナ科の野菜で、地中海沿岸が原産です。葉が縮れている品種や、なめらかな葉を持つ品種など、さまざまなタイプが存在します。栄養価が非常に高く、「スーパーフード」として世界的に知られ、特にビタミンA、C、K、カルシウム、鉄分、食物繊維が豊富です。抗酸化作用や免疫力向上、デトックス効果が期待されることから、健康志向の人々に人気があります。
タイでのケールの歴史とその重要性
タイでのケール栽培は比較的新しく、主に都市部を中心に健康志向の高まりと共に消費が増えています。ケールはタイでは「คะน้าใบหยัก (カナー・バイ・ヤック)」と呼ばれ、「カナー」というのはタイの一般的な青菜（カイラン）を指し、葉が縮れている点が特徴的です。
栽培は主に北部のチェンマイやチェンライ、そして中部のナコンパトムなどで行われており、近年は水耕栽培やオーガニック栽培など、品質にこだわったケールも生産されています。タイのスーパーマーケットやヘルシーフードを扱うレストランでは、ケールのサラダやスムージー、ケールチップスなどが見られるようになり、タイ国内での需要が急速に高まっています。
ケールを使った主なタイ料理
タイ料理にもケールを使ったヘルシーな料理が増えてきています。以下はその一例です。
- パット・カナー・ムーグロップ (ผัดคะน้าหมูกรอบ): 豚のカリカリ揚げ（ムーグロップ）とケールの炒め物。オイスターソースやニンニク、唐辛子で味付けされ、豚肉の脂の旨味とケールのシャキシャキとした食感が絶妙です。
- ゲーン・チュード・カナー (แกงจืดคะน้า): ケールを使ったスープ。鶏肉や豆腐、ガーリックとともに煮込んだシンプルなスープで、ケールの栄養をまるごと摂取できるヘルシーな一品です。
- ナムプリック・オングとケールのサラダ (น้ำพริกอ่องกับสลัดคะน้า): 北タイ料理である「ナムプリック・オング」（トマトとひき肉のディップ）を、ケールサラダと合わせた料理。ナムプリックのスパイシーで酸味のある風味と、ケールのほろ苦さがバランスよくマッチしています。
ケールを使ったタイ以外のアセアン料理
ケールはタイ以外のアセアン諸国でも人気の野菜で、さまざまな料理に取り入れられています。
- ケールのオイスターソース炒め (シンガポール): ケールをオイスターソースで炒めたシンプルな料理。ガーリックと唐辛子を加え、シーフードや鶏肉と合わせて食べることが多く、軽いおかずとして人気です。
- ケールのナシ・ウラム (マレーシア): マレーシアのハーブライス「ナシ・ウラム」に、ケールを細かく刻んで混ぜた料理。ココナッツやエビのペーストと共に炒められ、香ばしさとケールのほろ苦さが特徴のヘルシーな一品です。
- ケールのゴレンガン (インドネシア): インドネシアの揚げ物「ゴレンガン」にケールを加えた料理。サンバルやピーナッツソースをディップしながら食べることが多く、カリッとしたケールの食感が楽しめます。
ケールに関するタイの諺や格言
ケールに特化したタイの諺や格言はありませんが、健康的な食生活を奨励する言葉として以下の表現が使われます。
- "กินผักดีต่อใจ" (Kin pak dee to chai): 「野菜を食べることは心に良い」という意味で、野菜中心の食生活が心身に良い影響を与えることを強調しています。
- "ผักทุกวัน ชีวิตสุขสันต์" (Pak thuk wan, cheewit sooksan): 「毎日野菜を食べれば、人生は楽しい」という意味で、日々の食生活に野菜を取り入れることの大切さを表しています。
ケールはその高い栄養価と健康効果から、タイの健康ブームにおいて重要な役割を果たしており、「กินผักดีกว่ากินยา (Kin pak dee kwa kin ya)」つまり「薬を飲むより野菜を食べた方が良い」という言葉にも象徴されるように、食生活の中で特に重視されています。
タイにおけるケールの普及は、健康志向の高まりとともに急速に進んでいます。タイ料理のみならず、アセアン諸国のさまざまな料理に取り入れられ、日常的な食材として認識されつつあります。その栄養価と多様な調理法は、今後もケールの人気を押し上げ、タイの食文化に新しい風を吹き込むことでしょう。
