以前の記事で、タイに生息するヤモリ『チンチョ』について書きましたが、今回は同じヤモリの一種ながら大型で鳴き声が特徴的な『トッケイ』を取り上げたと思います。
タイのシラチャでは、夜になると耳にする鳴き声が一つのBGMとなっています。それは、「トッケイ」と呼ばれる大型のヤモリから発されるもの。トッケイはその大きさと鳴き声でトカゲと間違われがちですが、実際にはヤモリの一種です。
トッケイの最も特徴的な点はそのサイズで、体長は最大35センチメートルにも達します。夜行性のトッケイは、昼間は静かに隠れて暮らし、夜になると狩りを始めます。昆虫をはじめとする小動物を捕食し、強力な顎と粘着力を持った足で、壁や天井を自由に移動する姿は、まさに壮観です。
シラチャのコンドミニアムや近代的な住居ではトッケイを目にすることは稀ですが、市街地から少し離れた一戸建てや自然に囲まれたエリアでは、トッケイの姿を見かけることがあります。多くの場合、トッケイは人間を避けるように振る舞いますが、たまに家の中に迷い込むことも。
筆者はかつてシラチャ郊外の一戸建てに住んでいたことがありますが、トッケイがいつの間にか住み着いていたことがありました。毎晩「トッケイ」という鳴き声を聞かされていたことがありました。当初は鳴き声に少々驚くこともありましたが、いつの間にか慣れてしまい、その後は特に害もない動物ということで無理やり追い出すようなことはしませんでした（後述のようにむしろ幸運を呼ぶとも言われているようです）。
タイではトッケイは幸運の象徴ともされており、トッケイの鳴き声を聞くと幸運が訪れるという言い伝えもあります。しかし、その独特の鳴き声や外見から恐れられることも。ペットとしての飼育もされることがありますが、野生の生き物として適切な扱いを心がける必要があります。
トッケイは、タイの自然の一部として尊重され、その存在は生態系のバランスを保つために不可欠です。トッケイの存在は、シラチャに住む私たちにとって、自然との共生を再考する機会を与えてくれます。次にその独特な鳴き声を聞いたら、タイの自然の一部としてトッケイを歓迎してみてはいかがでしょうか。
